RBSによる型定義

RBSは、Rubyのコードに型定義を与えるための言語です。Ruby 3から標準で添付されるようになり、静的型チェックツール（例: Steep）と組み合わせて使用することで、コードの品質と保守性を向上させます。

RBSの基本

RBSファイル（.rbs）にRubyコードとは別に型情報を記述します。

例: user.rb

class User
  attr_reader :name, :age

  def initialize(name, age)
    @name = name
    @age = age
  end

  def adult?
    age >= 20
  end
end

例: user.rbs

class User
  attr_reader name: String
  attr_reader age: Integer

  def initialize: (String, Integer) -> void

  def adult?: () -> bool
end

型の種類

RBSでは、基本的な型から複雑な型までサポートされています。

• 基本型: String, Integer, bool (trueまたはfalse), void (値を返さない)
• リテラル型: "hello", 123, true
• nil許容型: ?String (String | nilのエイリアス)
• 配列: Array[String]
• ハッシ��: Hash[Symbol, String]
• タプル: [String, Integer]
• ユニオン型: String | Integer
• インターフェース: _ToStrのように_で始まる名前で定義し、特定のメソッドを持つことを要求します。

interface _ToStr
  def to_s: () -> String
end

def show: (_ToStr) -> void

メソッドの型定義

メソッドの引数と返り値の型を定義します。

class Calculator
  def add: (Integer, Integer) -> Integer
  def div: (Integer, Integer) -> (Integer | nil)
  def greeting: (String name, ?Integer age) -> String
  def process: () { (String) -> void } -> void
end

• (Integer, Integer) -> Integer: 2つのIntegerを引数に取り、Integerを返す。
• (Integer | nil): Integerまたはnilを返す可能性がある。
• ?Integer: ageが省略可能な引数であることを示す。
• () { (String) -> void } -> void: ブロック引数を取るメソッド。

ジェネリクス

クラスやメソッドに型変数を導入することで、汎用的な型定義が可能です。

class Box[T]
  attr_reader value: T

  def initialize: (T) -> void
end

# 使用例
# Box[String]
# Box[Integer]

RBSを導入することで、ドキュメントとしての役割も果たし、大規模なアプリケーション開発において型安全の恩恵を享受できます。