RubyのSocketプログラミング

Rubyの標準ライブラリsocketを使うと、TCPやUDPなどのネットワークプロトコルを直接扱うことができます。ここでは、基本的なTCPサーバーとクライアントの実装方法を紹介します。

1. TCPサーバー

TCPサーバーは、指定したポートでクライアントからの接続を待ち受けます。

tcp_server.rb

require 'socket'

# 127.0.0.1のポート2000で待ち受ける
server = TCPServer.new('127.0.0.1', 2000)

puts "Server started on port 2000..."

loop do
  # クライアントからの接続を受け付ける
  client = server.accept

  # クライアントごとにスレッドを作成して対応
  Thread.new(client) do |c|
    puts "Client connected: #{c.peeraddr.join(':')}"

    # クライアントからデータを受信
    while (line = c.gets)
      break if line.chomp == 'exit'
      puts "Received: #{line.chomp}"

      # クライアントにデータを送信
      c.puts("Echo: #{line.chomp}")
    end

    # 接続を閉じる
    c.close
    puts "Client disconnected."
  end
end

解説:

• TCPServer.new: サーバーソケットを作成します。
• server.accept: クライアントからの接続を待ち、接続が確立するとクライアントとの通信用のTCPSocketオブジェクトを返します。
• client.gets: クライアントから一行分のデータを読み込みます。
• client.puts: クライアントにデータを書き込みます。
• Thread.new: 各クライアントの処理を別スレッドで行うことで、複数のクライアントを同時に捌けるようにしています。

2. TCPクライアント

TCPクライアントは、サーバーに接続してデータの送受信を行います。

tcp_client.rb

require 'socket'

begin
  # サーバーに接続
  socket = TCPSocket.new('127.0.0.1', 2000)

  puts "Connected to server. Type 'exit' to quit."

  # サーバーからの応答を待つスレッド
  Thread.new do
    while (response = socket.gets)
      puts response
    end
  end

  # ユーザーからの入力をサーバーに送信
  while (input = $stdin.gets.chomp)
    socket.puts(input)
    break if input == 'exit'
  end

rescue Errno::ECONNREFUSED => e
  puts "Connection refused. Is the server running?"
rescue => e
  puts "An error occurred: #{e.message}"
ensure
  # ソケットを閉じる
  socket.close if socket
end

解説:

• TCPSocket.new: サーバーに接続を試みます。
• $stdin.gets: 標準入力からユーザーの入力を受け取ります。
• rescue: サーバーが起動していない場合などの接続エラーを捕捉します。

実行方法

1. ターミナルでサーバーを起動します。

   $ ruby tcp_server.rb
   Server started on port 2000...

2. 別のターミナルでクライアントを起動します。

   $ ruby tcp_client.rb
   Connected to server. Type 'exit' to quit.

3. クライアント側でメッセージを入力すると、サーバー側で受信され、クライアントに応答が返ってきます。

   hello
   Echo: hello
   exit

socketライブラリは低レベルなAPIですが、HTTPサーバーやチャットアプリケーションなど、様々なネットワークアプリケーションの基礎を理解する上で非常に重要です。