Rubyのリフレクション機能

リフレクションとは、プログラムが実行時に自分自身の構造（クラス、メソッド、変数など）を調査し、操作する能力のことです。Rubyは動的な性質を持つため、強力なリフレクション機能が備わっています。

1. クラスとオブジェクトの情報を取得する

• class: オブジェクトのクラスを取得します。
• is_a?, kind_of?: クラスやモジュールを継承しているか確認します。
• instance_of?: そのクラスの直接のインスタンスであるか確認します。
• respond_to?: 特定のメソッドを持つか確認します。

str = "hello"
p str.class         #=> String
p str.is_a?(Object) #=> true
p str.instance_of?(String) #=> true
p str.respond_to?(:upcase) #=> true

2. メソッドに関する情報を取得・操作する

• methods: publicメソッドの一覧を取得します。
• instance_methods: インスタンスメソッドの一覧を取得します。
• private_methods: privateメソッドの一覧を取得します。
• send, public_send: メソッド名をシンボルや文字列で指定して動的に呼び出します。sendはprivateメソッドも呼び出せます。

class Greeter
  def initialize(name)
    @name = name
  end

  def say_hello
    "Hello, #{@name}"
  end

  private

  def secret_message
    "This is a secret."
  end
end

greeter = Greeter.new("Alice")
p greeter.public_methods.grep(/say/) #=> [:say_hello]

# メソッドの動的呼び出し
p greeter.send(:say_hello) #=> "Hello, Alice"
p greeter.send(:secret_message) #=> "This is a secret."
# p greeter.public_send(:secret_message) #=> NoMethodError

3. インスタンス変数とクラス変数を操作する

• instance_variables: インスタンス変数の一覧を取得します。
• instance_variable_get: インスタンス変数の値を取得します。
• instance_variable_set: インスタンス変数に値を設定します。

class MyClass
  def initialize
    @my_var = 100
  end
end

obj = MyClass.new
p obj.instance_variables #=> [:@my_var]
p obj.instance_variable_get(:@my_var) #=> 100

obj.instance_variable_set(:@new_var, 200)
p obj.instance_variable_get(:@new_var) #=> 200

4. 定数とクラ���を動的に扱う

• const_get: 定数名（クラス名も含む）からその値を取得します。
• const_set: 定数に値を設定します。

# 文字列からクラスを取得してインスタンス化
class_name = "String"
klass = Object.const_get(class_name)
p klass.new("dynamic") #=> "dynamic"

# 動的にクラスを定義
Object.const_set("MyDynamicClass", Class.new do
  def greet
    "Hello from a dynamic class!"
  end
end)

p MyDynamicClass.new.greet #=> "Hello from a dynamic class!"

リフレクションは、メタプログラミングやDSL（ドメイン固有言語）の構築、汎用的なライブラリ開発において非常に強力なツールですが、多用するとコードが複雑で読みにくくなる可能性があるため、注意して使用する必要があります。